System Architecture
3 つの要素と、それぞれの置き場所
Power Viewer を組織で運用するとき、グループポリシーファイル・アルバムデータベース・eCTD ストレージの 3 つが登場します。このページでは、この 3 つがどうつながっているかと、それぞれをどこに設置できるかを説明します。導入をご検討中の情報システム部門の方、および Power Viewer の管理者向けです。
Group Policy File
管理者が作成して配布する設定ファイル。ライセンスキーと「どのアルバムデータベースにつなぐか」を持ちます。
Album Database
申請・文書のメタデータを集約するデータベース。eCTD 管理の中心です。3 つの運用形態から選べます。
eCTD ストレージ
実 eCTD ファイルが実際に置かれている場所。ローカル/ネットワークフォルダ、SharePoint、Box などの総称です。
アルバムデータベースが持っているのは eCTD ストレージの「登録情報」(どこに、どうつなぐか)だけです。eCTD ストレージそのものはアルバムデータベースの外にあり、実 eCTD ファイルがアルバムデータベースに取り込まれることはありません。
3 つはどうつながっているか
「前の要素が、次の要素の場所を記憶・参照する」という一直線の関係です。最も誤解されやすいのがアルバムデータベースと eCTD ストレージの境目で、アルバムデータベースの中にあるのは登録情報だけです。eCTD ストレージとその中の実ファイルは、常にその外側にあります。
「eCTD ストレージ」と「eCTD ストレージ登録情報」は別のものです
eCTD ストレージは、実 eCTD ファイルが実際に置かれている場所そのもの ―― ローカル/ネットワークフォルダ、SharePoint、Box、Google Drive、Veeva Vault をまとめた呼び方です。eCTD ストレージ登録情報は、そのうちどれをどう使うかをアルバムデータベースに登録したレコードです。アルバムデータベースに入っているのは後者だけで、実 eCTD ファイルがアルバムデータベースに取り込まれることはありません。
それぞれ、どこに置けるか
3 つの要素は設置できる場所がそれぞれ異なります。
○ 対応 / △ 条件付き・非推奨 / × 非対応
Group Policy File
group-policy.pvaf(暗号化された設定ファイル)
- ○ 対応
- 社内ファイルサーバー / 共有フォルダ 推奨 UNC パス・マップドライブのどちらでも指定できます。1 ファイルを全端末で共有でき、通常利用は読み取りのみで開くため読み取り専用の共有で運用できます。
- ○ 対応
- PC ローカルフォルダ 端末ごとに配布・更新する運用になります。設定変更のたびに全端末へ配り直しが必要です。
- ○ 対応
- クラウドストレージの同期フォルダ OneDrive / Box などがローカルに同期したフォルダを指定する形です。アプリからは通常のローカルパスとして扱われます。グループポリシーはデータ更新の頻度が低いため、同期の競合でファイルが壊れるリスクは低いです。
- × 非対応
- HTTP(S) の URL を直接指定 ファイルパスのみに対応します。Web サーバーに置いて URL で配布することはできません。
- × 非対応
- レジストリ / 環境変数での場所指定 いずれも非対応です。Windows のグループポリシー(GPO)とは別物で、GPO からパスを配信する仕組みはありません。
Album Database
3 つの運用形態から選択
- ○ 対応
- ファイル版(SQLite)― 社内共有フォルダ / NAS 追加のご契約は不要です。データベース 1 ファイルを共有フォルダに置いて全員で使います。バックアップ・排他制御は自社運用となります。
- ○ 対応
- クラウド版(Hosting)― 弊社運用サーバー Hosting 契約が必要です。ファイルサーバーや VPN を用意せずに、拠点をまたいで同じデータベースを共有できます。設定はテナント ID の入力のみ。
- ○ 対応
- 自社サーバー版(Onprem)― 顧客サーバー(Docker) Onprem 契約が必要です。機能はクラウド版と同一で、データを社外に出さずに拠点間共有ができます。要件は下の表を参照してください。
- △ 条件付き・非推奨
- ファイル版をクラウド同期フォルダに置く 複数人が同時に開くと同期の競合でファイルが壊れるおそれがあるため、共有目的では推奨しません。拠点をまたぐ共有にはクラウド版・自社サーバー版をご利用ください。
- × 非対応
- 既存の DB サーバーへの相乗り SQL Server・PostgreSQL などお客様の既存データベースサーバーへの設置は非対応です。
eCTD ストレージ
実 eCTD ファイルが実際に置かれている場所
- ○ 対応
- ローカル / ネットワークフォルダ 既定 UNC パス・マップドライブに対応します。基準となるルートフォルダを管理者が指定し、全端末で統一することもできます。
- ○ 対応
- SharePoint Online お客様の Microsoft 365 テナントへの API 接続です。弊社提供の OAuth アプリ、自社作成アプリのどちらでも構成できます。
- ○ 対応
- Box / Google Drive いずれも弊社提供の OAuth クライアントを使う方式(Hosted)と、自社アプリを使う方式の両方に対応しています。
- ○ 対応
- Veeva Vault BETA ベータ提供です。ご利用前に対応範囲をご確認ください。
- × 非対応
- OneDrive 単体 現行版では選択対象外です。Microsoft 365 環境では SharePoint Online をご利用ください。
- × 非対応
- 弊社サーバーへのアップロード そのような機能はありません。実 eCTD ファイルが弊社サーバーへ送信・保存されることは一切ありません。
eCTD ストレージへのアクセスは「読み取りのみ」です
Power Viewer が eCTD ファイルを書き換えたり、削除したりすることはありません。ただし Box のみ、権限モデルの仕様上「書き込み」権限の付与が必要になります(実際の書き込みは行いません)。これらクラウドストレージへの通信を含め、アプリの HTTP 通信はすべてグループポリシーファイルに登録したプロキシ設定に従います。
各クラウドストレージの登録手順は eCTD Storages をご覧ください。
自社サーバー版(Onprem)の設置要件
| 項目 | 要件・目安 |
|---|---|
| OS / 実行基盤 | Linux + Docker。Windows の Docker Desktop は動作保証外です |
| サーバースペック | 最小 2 vCPU / メモリ 4 GB / ディスク 40 GB(データ量に応じて増設) |
| 通信 | HTTPS 必須(サーバー証明書はお客様でご用意)。同一ホストからの接続を除き、HTTP は使用できません |
| 接続 URL の形式 | ホスト名までの URL のみ。パス付き URL(例: https://example.com/pv/)は指定できません |
| ライセンス | Business のライセンスキーとは別に、サーバー用ライセンスキーが 1 台につき 1 つ必要です |
| 規模の目安 | 同時利用 10 名程度、データベースあたり 500 GB 程度を想定 |
| 冗長化・バックアップ | 単一サーバー構成が前提です。冗長化・災害対策はお客様の責任範囲となります |
数値は設計上の想定値です。実際の導入にあたっては個別に導入資料をご確認ください。
サーバーの準備から導入までの手順は次をご覧ください。 自社サーバー版 サーバー準備ガイド / 自社サーバー版 セットアップガイド
代表的な 3 つの構成パターン
次の 3 つの図は同じ構成要素・同じ配置で描いています。アルバムデータベースがどこに置かれるかだけが違いです。
共通の矢印
- ① グループポリシーファイルを読み、接続先を知る
- ② アルバムデータベースに接続する
- ③ eCTD ストレージから実ファイルを PC が直接読む
③ の通信はどの構成でもアルバムデータベースを経由しません。実 eCTD ファイルが弊社サーバーを通過することはありません。
A. ファイル版 ― 共有フォルダで完結
- 向く組織
- 1 拠点・少人数。サーバーを立てたくない場合
- 必要なご契約
- Business のみ(追加契約なし)
- 運用負担
- 共有フォルダのバックアップ・排他管理は自社
B. クラウド版 ― 弊社サーバーで共有
- 向く組織
- 複数拠点で共有したい。サーバーを構築したくない場合
- 必要なご契約
- Business + Hosting
- 運用負担
- データベースの運用・バックアップは弊社。社外へ出るのはデータベースの内容のみ
C. 自社サーバー版 ― 社内で完結して共有
- 向く組織
- 複数拠点で共有したいが、データを社外に置けない場合
- 必要なご契約
- Business + Onprem(サーバー用ライセンスキーを含む)
- 運用負担
- サーバー構築・更新・バックアップは自社
どのデータが、どこに置かれるか
セキュリティ審査でよく問われる「データの所在」を運用形態ごとに整理したものです。
| データ | A. ファイル版 | B. クラウド版 | C. 自社サーバー版 |
|---|---|---|---|
| eCTD の実ファイル(PDF 等) | 自社ストレージ | 自社ストレージ | 自社ストレージ |
| 申請・文書のメタデータ、backbone XML | 自社の共有フォルダ | 弊社サーバー | 自社サーバー |
| ユーザー・アクセス権・操作ログ | 自社の共有フォルダ | 弊社サーバー | 自社サーバー |
| eCTD ストレージの登録情報(接続先・認証情報) | 自社の共有フォルダ | 弊社サーバー | 自社サーバー |
グループポリシーファイルは、3 形態とも自社の共有フォルダまたは端末に置かれます。弊社へ送信されることはありません。
暗号化の考え方
| 対象 | 保護のしかた | 鍵の管理 |
|---|---|---|
| グループポリシーファイル | ファイル全体を暗号化 | アプリが内蔵(管理者の設定は不要) |
| アルバムデータベース(ファイル版) | パスワードによるファイル全体の暗号化 | 管理者が任意に設定。紛失するとデータベースを開けなくなります |
| eCTD ストレージ登録情報の秘密項目 (クラウド版・自社サーバー版) | サーバー側で暗号化して保管 | クラウド版は弊社。自社サーバー版はお客様が保管(暗号鍵を失うと保存済みの登録情報は復旧できません) |
誰が何を見られるか、何が記録されるか
アルバムデータベースを組織で共有するときのアクセス制御とログの仕組みです。
以下はライセンスキーによる組織向け利用(Business プラン)での話です。無料利用ではアルバムデータベース自体を使わないため、ユーザー管理もアクセス権もありません。
ロール
| ロール | できること |
|---|---|
| Administrator | すべての操作。ユーザーのロール変更、グループ編成、アクセス権の付与、監査ログの閲覧ができます。アクセス権による制限を受けません。 |
| GroupPolicyEditor | 閲覧に加えて、グループポリシーファイルを編集できます。 |
| Viewer | 閲覧のみ。編集権はありません。 |
| Guest | 初回ログイン時の仮登録状態。Administrator が正式なロールへ変更するまで、権限は付与されません。 |
ロールを変更できるのは Administrator だけです。ただし自分自身のロールは変更できません。
アクセス権の与え方
権限はユーザーに直接ではなく、ユーザーグループに「鍵」として持たせます。
グループ加入で権限を得て、脱退で失う
ユーザーはグループに加入することで、そのグループが持つ鍵を得ます。脱退すれば剥奪されます。1 人が複数のグループに所属できます。異動時にアカウントを作り直す必要はありません。
申請単位(Application Access Key)
対象アルバムの申請を閲覧可能にします。Priority の下限を設定して範囲を絞ることができ、複数の鍵を持つ場合は最も広い値が適用されます。
文書単位(Document Access Key)
パスの部分一致、SHA256 / MD5 によるファイル指定、拡張子、m5 配下の限定(STDM / ADaM など)、ダウンロード可否といった 8 種類の条件で制御します。許可(Allow)と拒否(Deny)があり、両方に当たる場合は Deny が優先されます。
全体公開用の特殊グループ
All User(Guest を含む全ログインユーザー)と All Registered User(登録済みの全ユーザー)が用意されています。ここに鍵を持たせると、個別の加入作業なしにアルバムを公開できます。これらのグループは編集・削除できません。
監査ログ
アルバムデータベースに対する操作は自動的に記録されます(アプリ v3.0.0 以降)。
- 記録される種類は ログイン / 作成 / 更新 / 削除 / ログ圧縮 の 5 つです
- 対象はアルバム・申請・SubmissionUnit・文書・申請タグ・アクセスキー・eCTD ストレージ・ユーザーアカウント・ユーザーグループの作成/更新/削除です。アクセス権の変更も含まれます
- 更新では変更前後の値まで記録されます
- 日時は UTC で記録されます
- 閲覧できるのは Administrator だけです
- ログはアーカイブして削除できますが、アーカイブを実行したという記録自体はログに残ります
記録されないこと
記録の対象は、ログインと、データ・アクセス権に対する変更操作です。「誰がどの文書を開いたか」という閲覧の記録は取得していません。閲覧行為そのものの追跡が要件に含まれる場合は、事前にご相談ください。
ログイン方式
| 方式 | 内容 |
|---|---|
| Microsoft Entra ID | Entra ID(Azure AD)のアカウントで認証します。 |
| Active Directory | 社内の Active Directory のアカウントで認証します。 |
| ID・パスワード | アルバムデータベースに登録した資格情報で認証します。 |
認証方式はライセンスキーに記録され、アルバムデータベース単位で決まります。利用者が任意に切り替えることはできません。
持ち出しと機能の統制
グループポリシーファイルで、組織全体に対して機能の可否を設定できます。データの持ち出しに関わる主なものは次のとおりです。
- eCTD の HTML エクスポートの可否(全ユーザー可/Administrator のみ)
- 画面一覧の CSV 保存の可否(全ユーザー可/Administrator のみ)
- PDF を既定アプリで開くことの可否
- PDF のテキスト選択・コピーの可否
- クラウド認証情報(Refresh Token)を端末に保存するかどうか
- エラーレポート送信の可否
- ログイン方式(オンライン/オフライン)
設定はグループポリシーファイルに書き込まれ、配布した全員へ自動的に適用されます。制限された操作は無効表示となり、画面上に理由が表示されます。
ロール・グループ・アクセスキーの具体的な設計手順と、監査ログ画面の操作は ユーザーガイド をご覧ください。
設置前チェックリスト
実際に構成を決めるときに確認いただきたい項目です。
- 1 グループポリシーファイルの置き場所を決める 全端末から到達できる共有フォルダを推奨します。読み取り専用の共有で構いません。
- 2 その共有フォルダのアクセス権を確認する ファイルにはライセンスキーと接続情報が含まれます。閲覧できる範囲を必要な利用者に限定してください。
- 3 アルバムデータベースの運用形態を決める 拠点数・社外にデータを置けるか・サーバーを立てられるかの 3 点で、A / B / C を選択します。
- 4 ファイル版を選ぶ場合: 暗号化パスワードを決め、確実に保管する 紛失するとデータベースを開けなくなり、復旧手段はありません。
- 5 ファイル版を選ぶ場合: 共有フォルダのバックアップ体制を用意する バックアップと排他管理は自社の責任範囲です。
- 6 自社サーバー版を選ぶ場合: Linux + Docker のサーバーと HTTPS 証明書を準備する サーバー用ライセンスキーも別途必要になります。
- 7 自社サーバー版を選ぶ場合: 暗号鍵をバックアップする 鍵を失うと保存済みの登録情報が復旧できません。
- 8 プロキシ環境なら、プロキシ設定をグループポリシーファイルに登録する アプリの HTTP 通信はすべてこの設定に従います。
- 9 eCTD ストレージを決め、権限を付与したうえでアルバムデータベースに登録する クラウドストレージを使う場合は、そのテナント側での OAuth 承認作業が必要です。
- 10 ネットワークフォルダを使う場合、パスの書き方を統一する UNC パスとマップドライブが端末ごとに混在すると、参照が食い違う原因になります。
- 11 複数台へ展開する前に、1 台で通し確認する グループポリシーファイルの読み込み → アルバムデータベース接続 → eCTD 表示までを確認してから、全体へ展開してください。